自由研究【第1弾:建物の構造】
こんにちは。
賃貸物件を借りるうえでみなさんが気になるけど、じっくり調べる時間が取れない…!
という疑問を自由研究として発信できたらと思い、ブログを書いております。
第1弾は「建物の構造」です。
物件探しをする際に選ぶ基準として、建物の構造を気にして選んでいますか?
建物の構造を知ることで自分の求める住環境が明確になり、お部屋探しがよりスムーズになるかもしれません。
漠然と「木造は音が気になりそう…」「鉄筋コンクリートはしっかりしている」という固定観念があると、良い物件を見落としたり、悩みに悩んでいる間に他の人の申込みが入っちゃったり…なんてことになりかねません。
物件探し、楽しいですけど疲れますよね。
横文字のマンション名が多くて営業マンの言っている物件がどれだったか分からない。
浴室乾燥機が付いてたのは2番目に見た物件だっけ?
一番家賃が安いのは最後に見たやつだったよね?
ちゃんと頭の中で整理しながら見ていかないといけないので、その頭の切り替えでもドッと疲れます。
どんなのがいいか分からないから実際に見て決める!というのは実際かなり大変です。
なので、お探しの物件に早く出会えるように物件を見る目の肥やしになれば嬉しいな~と思いながら書いていきます。
まずは木造について
みなさん、木造の印象はどうですか?
・家賃が安い
・地震で倒壊しそう
・音が響きやすい
こんな印象無いですか?
鉄に比べると木材の方が建築コストが安い分、家賃が安い傾向にあるのは間違いないです。
家賃は安いに越したことはないですし、これは木造の大きなメリットですよね。
地震での耐震性についてですが、確かに物件によっては仰るとおりの条件の木造もありますが、木造でも地震に強い家はあります。
例えばツーバイフォー工法で建てられた木造は、柱や梁を使わず、天井と壁と床の六面体でサイコロのように造られます。
そのため、壁面全体で揺れを受け止めることができ、地震に強いと言われています。
また、家づくりといえばこれ!という工法である軸組工法(柱と梁を使い、建物の骨組みを作る工法)で倒壊する場合というのは、基礎に差し込んだ柱のほぞが抜けることが原因となることがほとんどであるため、逆にいうとほぞ抜け防止工事がされていれば倒壊の危険はグッと減らせます。
地震大国の日本で、いまだに木造が新築の大きなシェアを誇っているのは地震にも強くなってきているからというのもあるのかもしれませんね。
さらに1981年には耐震基準が見直され、それ以降の建築物は耐震性が高くなっているのも木造でも大丈夫という要因になっています。
そして、これは感覚的にも分かると思うのですが、重いものほど良く揺れる分、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の方が地震の影響を受けやすいです。
木造が構造的に一番軽い分、一番揺れにくい構造ということでもあります。
木造だから地震に弱いというのは誤った認識かもしれませんよ。
(調べるまでは自分もそう思っていました。笑)
次に木造の弱点ですが、ズバリ!火です。
…と言いたいところですが、厚い木材は外側がすぐに炭化することで中心部まで燃えにくくなっていたり、上に挙げたように、ツーバイフォー工法はサイコロのように造られるため、それぞれのお部屋が独立した箱として類焼しづらくなっているという工夫もあります。
ついでにいうと、面で構成されるので、隙間ができず気密性が高いというのもツーバイフォーの強みでもあります。
さらに、実際に住むうえで少し得する部分で言えば、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造では柱や梁が太く、部屋の隅などにぽこっと柱型や梁型が出ていることが多いのですが、木造では部屋に柱や梁が出てこないので、部屋を広く使えるというメリットもあるんですよ!
住むうえでの快適さでいうならば木造を支持する面白いデータがありました。
静岡大学の農学部による実験として、それぞれ木、鉄、コンクリートで造られたケージでマウスの飼育を行ったところ、木製のケージでは生存率が85.1%、鉄製では41%、コンクリート製では6.9%という結果になったということでした。
コンクリートのケージの母マウスはストレスで子マウスを殺してしまうという行動も見られたという結果だったそうです。
鉄筋コンクリート造の建物でも全面がコンクリートの部屋で暮らすわけではないので、人間でも全く同じことが言えるわけではありませんが木造の良さは体感的な部分でも良さそうです。
あくまでマウスでの実験ではという前置きが付きますが、同実験を一歩進めたものも同じく静岡大学の農学部と木材物理学研究室の共同研究でありました。
コンクリートのケージの床に合板やクッションフロアなどを敷いた状態での実験ですが、合板やクッションフロアでの生育と木造の生育では誤差レベルまで差がかなり詰まっていました。
しかし、やはり木製のケージが最も生存率が高いのは揺るぎませんでした。
木は呼吸することで湿度を一定に保ってくれる効果もあるので、快適さという観点で見ればやはり最もすぐれていると言えるのではないでしょうか。
やっぱり木造の最大の弱点といえば「音」の問題なのですが…
音のことは最後にまとめて説明しますね!!
鉄骨造について
鉄骨造では軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分けて説明していきます。
簡単に違いを説明すると、使う鉄骨の厚さが6mmあるかないかの違いですが、実際はほとんど別物です。
同じ鉄を使って建てても構造に違いが出るのは、鉄骨の1つ1つの耐久性が違うことに起因しています。
軽量鉄骨造では、鉄骨自体の耐久性が十分でないので木造の軸組工法と同じように柱と柱の間を筋交いで補強する必要があります。
分かりやすく言うならば、先に木造のときに挙げた軸組工法の鉄バージョンですね。
対して、重量鉄骨造は6mm以上の厚さのある鉄骨を使っているので、少ない骨組みで建物を支えることができます。
骨組みが少ないということは壁が少なくて済むので、大きなLDKといった間取りであることが多いです。
そして、鉄骨に厚みがある分、それを覆うための壁や床も必然的に厚くなるので、遮音性も高くなる傾向にあります。
分かりやすく分類するならば、軽量鉄骨造はハイグレードな木造、重量鉄骨造はローグレードな鉄筋コンクリート造なのかもしれませんね。笑
鉄骨造はちょうど木造と鉄筋コンクリート造の中間に位置するものだと考えてもらえれば、より分かりやすいかと思います。
その鉄骨造にも火に弱いという弱点があります。
鉄自体は燃えることはありませんが、540℃以上の熱で柔らかくなってしまうので、耐火性という点では木造よりも低いと言われています。
通常、火災が起こると5分~10分程度で500℃に達すると言われています。
そう考えるといざ火災が起きてしまったときの避難までの時間は木造の方が燃えても倒れない分、長いのかもしれません。
※ 築年数や家財、環境などさまざまな要因によって変わりうるので一概には言えません。ただこれは木造でも同じことが言えるのですが、構造躯体にまで火が及んでいる時点で大火事ですので、絶対に逃げてください。
鉄筋コンクリート造
最後に鉄筋コンクリート造について。
鉄筋という骨にコンクリートという筋肉をつけたというイメージです。笑
鉄骨鉄筋コンクリート造というものもありますが、骨と筋肉の鉄筋コンクリート造に皮膚が加わったくらいの認識で大丈夫かと思います。笑
より強固な構造であるのには間違いないのですが、以下でお話しすることに関してはさほど差がないので同じものとして考えてください。
耐火性でいうと、なんとコンクリートは1000℃の炎にも強度の低下もなく2時間耐えうるとも。
これはコンクリートの含水率など質にも左右されるようですが、もっとも火に強い構造であるのは間違いないです。
そして、鉄筋コンクリート造は気密性の高さもそのウリの一つです。
他の構造では木材が吸湿することで伸びたり縮んだり、組み上げるうえで隙間が出来たりということもあります。
コンクリートは隙間がないので非常に気密性が高いです。
気密性が高いということは室温が逃げづらいので、冷暖房の効率もよく、省エネにも繋がります。
木造のツーバイフォー工法のときにも気密性が高いと言いましたが、気密性が高いというのは実はデメリットにもなります。
気密性が高いということは湿気も逃げにくいということとイコールでもあるので、カビや結露が発生しやすくなってしまいます。
それぞれ換気口などが設けられていることが多いですが、こまめな換気をするなど住むうえで快適さをキープするためには多少の努力が必要となりますね。
そして、鉄筋コンクリート造は耐震性についても構造としてしっかりしている分、強いです。
建物自体が重いので、地盤も強いものでなければなりません。
地盤も構造も強固なものであれば、安心度は非常に高くなるのではないでしょうか。
鉄筋コンクリート造はやはりあらゆる面で優れた構造と言えそうです。
ただその分、価格に反映されているというのも否めないですね。
さて、つぎはようやく気になる「音」についてです。
お部屋選びで気になる「音」の問題
やっぱり快適に暮らすためには、周りからの音も自分からの音も気になりますよね。
もちろん集合住宅なのでお互いに多少の配慮が必要ですが、出来るなら気を使わない方がいいですよね。
単純に構造躯体で遮音性能を比べてみると
木造 < 軽量鉄骨造 < 重量鉄骨造 < 鉄筋コンクリート造
となります。
じゃあ、鉄筋コンクリート造の賃貸に住もう!
…いや、ちょっと待ってください。
こういうのはだいたい落とし穴があるものなんです。
携帯ゲームのガチャで最高レアが当たった!けど、性能がよくない!
ということもよくありますもんね。笑
木造であっても快適に住んでいただくために水回り同士を合わせたり、隣部屋のリビングと接しているところに収納を配置したりと間取りを工夫し、生活音が聞こえないように工夫されていることもあります。
さらに、ツーバイフォー工法の中には防振フローリングで階下への音を軽減したり、
吸音素材を床や壁に入れることでかなり高い遮音性を実現している物件も多くあります。
ネットでよく言われている「木造は音が響く」に対応するためにオーナー様も様々な方法で快適さを求めているのですね。
また鉄筋コンクリート造だからといって盲信するのも危険で、壁の厚さやパネルの有無、さらにはお隣さんの生活パターンや使い方でも変わるので、鉄筋コンクリート造は音が聞こえません!と断言はできません。
「音」とは振動です。
振動は伝わるものによって、固体音と空気音に分けられます。
声は空気の振動ですし、足音は物(床)の振動です。
空気の振動であれば緩衝材となる壁やドアを通るうちに減退されるのですが、固体音は空気音に比べて早く伝わり、さらに減退されにくいのです。
小さいときに糸電話を作って遊んだりしませんでした?
離れたところで小さい声で話しても糸を伝って聞こえるのは固体音の特性だったのです。
声が空気を伝わって耳に届くよりも糸を伝わって行く方が音の減退が少ないということですね。
まさに賃貸物件にもそれが言えて、物を落とした音や大きな足音、洗濯機の振動などは固体音なので、伝えないようにするのは難しいのです…
ただ壁と壁の間に空間があれば固体音→空気音へと変えられるので、音はかなり減退させることができます。
そして、伝わるものの密度が高ければ高いほど音は減退せず、遠くまで届きます。
糸電話でも、糸をピンと張った状態でなければ遠くまで声が聞こえなかったのも、引っ張ることで糸の密度を上げて伝わりやすくしていたからなんですね。
密度の高い鉄は音を非常によく通すので、木造は鉄骨造より音が響きやすいというのは一概には言えず、むしろ防音をしっかりした木造であれば鉄骨造以上、あるいは鉄筋コンクリート造並みの遮音性になる事もあります。
ゴムなど弾性・粘度のある素材は振動に対して、跳ね返す力で振動を相殺し、減退させることができるので、それを界床に用いることで振動を減らすなど快適に住んでもらう工夫はオーナー側もたくさんしております。
ここまで読んでもらえば鉄筋コンクリート造だから大丈夫!とか木造だからダメ!
という風に判断するのは早いというのが分かってもらえたかと思います。
それでもどうしても音が気になるなら家具の配置をかえるのも一つの手かもしれません。
例えば隣の音が聞こえる壁面に寄せてベッドを配置している場合、よりその音が気になることもあります。
気になるのであれば、隣の部屋と接している壁面に本棚やタンスを置いて距離を作るのも一つの手です。
自分で出来る簡単な方法ではゴムマットやカーペットを敷いて音を他の部屋に伝えないようにする。
激落ちくんなどの堅くて空気をたくさん含むスポンジ類を敷くのも音をたてない為にはいいのかもしれませんね。笑
共同住宅である以上、どうしても音の問題や快適さは気になってしまいますが、構造を知ることで正しい判断・対応が出来ればと思って長々と書いてみました。
これにて第1弾は終わります!!
実は使用している画像等はほとんど宮本の手書きです!!笑
結構しんどいな、第2弾はもっと簡単な題材を選ぼうかなと思っている宮本ですが、ブログ以外にも物件紹介も頑張っておりますので、お引越しを検討されている方は是非ご来店ください!
そして!今回のまとめ!!
p.s
第2弾の題材も募集中です。笑
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