【火災保険】借家人賠償と個人賠償の違いは?
賃貸物件に入居する際、加入する火災保険に付帯している【借家人賠償責任補償】と【個人賠償責任補償】の違いについて書いていこうと思います。
借家人賠償責任補償とは?
簡単にいうと「大家さんに対する賠償責任」です。
例)失火により借りている物件に損害を与えてしまった。
●近隣の住宅への損害賠償
重大な過失がなければ、失火責任法が適用されます。したがって、失火によって近隣の住宅へ被害が及んでしまったとしても損害賠償責任は負いません。
●大家さんへの損害賠償
賃借人(ご契約者様)には原状回復義務があります。
失火によって借りている物件を原状回復して大家さんに返還することができないという状況だと、債務不履行にあたります。
債務不履行による損害賠償請求には失火責任法が適用されません。
よって、不法行為(故意または過失)とは別の債務不履行によって、賃借人に重大な過失がなかったとしても、損害賠償請求を免れません。
大家さんは、貸している物件を原状回復して戻してもらえないと困ってしまいます。
賃借人が失火などで賃貸人に借りている物件を返還できないこと(=債務不履行)による損害賠償請求に備える為、借家人賠償責任補償という賃貸補償が必要になってくるのです。
個人賠償責任補償とは?
日常生活の中で起こりうる「他人にケガをさせてしまった」「他人の物を壊してしまった」などによって損害賠償しなければならない場合に備える補償です。
個人賠償責任補償は、身近なトラブルに対して使えます。
例1)他人の物を壊してしまった
例2)野球をしていて他人の家の窓ガラスを割ってしまった
例3)共同住宅で洗濯機の排水ホースが外れ、階下に水漏れを起こしてしまった
例4)自転車に乗っていて人にぶつかってしまった
上記のすべてのケースで個人賠償責任補償が使えます。
しかし!
個人賠償責任補償では「他人の物を壊した」という場合には補償されますが、「他人から借りている物を壊した」場合には補償されません。
つまり、賃貸借契約によって借りている物件は「他人から借りている」ことになるため、個人賠償責任の対象外となってしまうのです。
先ほどあげた失火の例でいうと、個人賠償責任補償では大家さんに対しての補償がされません。
また、個人賠償責任補償は他の保険に付帯する形で契約する場合がほとんど。
火災保険や自動車保険、クレジットカードに付帯できたりもします。
この場合、付帯元の火災保険などを解約すれば個人賠償責任補償も解約されるため注意しましょう。
借家人賠償責任補償と個人賠償責任補償の違いは?
最大の違いは、大家さんに対する補償と他人に対する補償ということです。
大家さんも他人じゃないの?(˘ω˘)と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、前述したように個人賠償責任補償だと「借りている物」に関しては補償対象外となってしまいます。
2つの賃貸補償について比較するために、借りている物件で損害を起こしてしまったケースについて考えてみましょう。
例1)賃貸物件で寝タバコによって火事を起こしてしまい、隣家に損害を与えてしまった。
失火責任法によると、寝タバコは過去の判例において「重大な過失」に該当され、隣家の損害を賠償しなければなりません。この場合は個人賠償責任補償が対象となります。
例2)賃貸物件で洗濯機の排水ホースが外れてしまい、階下に水漏れが起こった。
階下の方への損害賠償は、個人賠償責任補償が対象となります。
またこの場合は、自分が借りている物件の床も水浸しになるため、大家さんに対しての損害賠償は、借家人賠償責任補償が対象となります。
例2)のケースでは、【借家人賠償責任補償】と【個人賠償責任補償】の両方が対象となります。賃貸物件のさまざまなリスクに備えるためには、火災保険に両方付帯しておくことがおすすめです。
さいごに
物件によっては借家人賠償〇千万円以上・個人賠償〇千万円以上の保険に加入しなければならない。など条件がつく場合もあります。
正しく理解し、「もしも」のためにそなえましょう(*^^*)
こちらもあわせて読んでみて下さい♪
関連した記事を読む
- 2024/10/31
- 2024/10/08
- 2024/09/30
- 2024/09/27